צא

دمنهور - 𝑆ℎ𝑖𝑧𝑢𝑜𝑘𝑎 | 𝐻𝑒𝑟𝑚𝑒𝑠 𝑇𝑟𝑖𝑠𝑚𝑒𝑔𝑖𝑠𝑡𝑢𝑠(933311) | Ramakrishna | 𝐑𝐀 | 1991.03/19 | JAPON ♎︎

ドラッグストアと対峙している高架線を列車が通過したとき、二枚の海苔がはらはらと机から落ちた。

(実しやかに!)

最大広告アナウンスによるエメラルドのような拡がり。

角刈り頭の歯抜け少年がログハウスから見下ろせるような形の河川敷で処女膜を突き破った

めでて〜な、と翁が三個、ガシャガシャ言いながら向こうからやってくる。

少年はにわかな腹具合の不調を感じつつも、そこから走り去る

カワサギ、燕、大くじらと三点を結んで成り立った面では、ほぐし身が鬱蒼としており夜中になると、ごともたげた。

まだ値札のはずされてない金属バットを両手でもつ男は、不意に膜を打ち捨てられてしまった女と鉢合うこととなるのだが、それは誰がどう穿って見たところで不幸には見えないと思う。

男は極度にナイーブであったし、彼女のショック状態を凌駕するほど男の微笑みには快いフレーバーだけが聴覚的に感じられる

彼女の横たわった身体に収まるようにして金属バットを置くと、男は魚入りバケツの放置されたそれを持ち寄り、囲むようにして魚を彼女の身体に沿って敷き詰めていった

ナイーブな男は、その場を去る。さいごの去り際、熱心に車が近くで駐車していないかを確かめながら消えたのだ。

男の名前は光造という。角刈りの男は隆助(たかしすけ)という

この二人は紛れもなく接点がないが、ないからこそこの河川敷でもう一回会うことになった。

「ぼくの名前は、たかしすけです」

光造もそれに倣う

聞いたところによると、と口をついて出たところで光造は自分が何も聞いてなどいないことを知ったが、言い放たれたことによって隆助はハッとし「ぼくがやりました、すいません」と白状してしまった。

「ここで横たわった女を見たんだけどね、知ってるか」と光造

隆助はキョロキョロと辺りを見渡しながら、一つの相対的に大きい物体を指す

「あれじゃないかな」と隆助は、ぶるぶる震えながら局地に達して、寒さには寒さをと、川へ飛び込んでいった

音がしたのにも関わらず、光造はそれに一片も気づかないで、目標の物体に走り寄る

夜中のこの糞寒いなか隆助の汚い声だけが響き渡り、光造は既に死亡している女をジッと見据えながらジップをおろす

隆助は「こいつ、貴子というらしい」と裸一貫に言う

力を込めて、光造は女の顔をひとしきり殴ると「変な名前だな」と言って、裸の隆助を自室に招いた

「そのうちに女は、輩のいい玩具にされてしまう」

隆助は未だ裸のまま、プラスチック製おまるに顔をうずめた形で、首とおまるを縫いつけられている。

イタたいたい!というところだろうなと母もいうだろうが、お前はおまるの属性だ、とでも言いたいよ、と光造は縫いの二週目に入った

隆助の菌まで見えるような気持ちの悪い血がフローリングの溝に染み込んで光造は昂ぶった

「おれ、日記つけてるんだよ」

射精の描写とノートに染み込んだ液にペンによる丸印

「おれはいたいよ」と隆助

貴子は何か異様な化物になってるだろうな、と光造は投げかける

「まあそうだろうな」

隆助を起こすと、姿勢をよくさせてから椅子をもってき、光造は千枚通しで、おまる越しに貫く

「お前の痛覚の性質が知りたいんだよぉ〜」ズボズボズボ、と書いている俺までもが興奮してきた。

その時、叔母の美代が入ってきた。

「なんだい」

「お前は何をしているんだ」美代は、吐瀉物で口元を汚しながら、それでいて乾きながら、叔母は叔母は、、、裸だ!!

「何って、みりゃ分かるだろうが」光造は冷たく、それでもってちゃんとリスクは背負っている感じで円柱をつくり、叔母のおぼろげな喉元へ突き刺す

そのとき、顔の腫れ上がった何かが窓から侵入してきた。

平屋だからだし、それは貴子だった

貴子がそのまま市役所で廃車手続きでもしたら面白いだろうなと隆助は考えたし、光造は依然として隆助という名前がおかしくて胃が痙攣していた。

美代は「とりあえずあがんな」と貴子の眼前へ、巾着から取り出した唐揚げを手向ける。

貴子は冷たく、タイガーのような女だった。

美代の右手を噛み砕くと、美代は右手がなくなって、静かに息を引き取った。

光造と隆助がもみ合っているうちに、光造は死んだ叔母につまずいて千枚通しを飲み込んでしまった

光造は何が起こっているか分からなかった。とりあえず、この生きている三人で平和になって色々考えた方がいいと考えた

隆助の頭蓋はもう残酷なまでに瀕死同然だった。虫の恐怖と光造の部屋の匂いとが唯一、自分足るものを縛り上げるに必要なものだった

光造に采配がいった。

貴子が、協定的に動いたからだった。

まず無理矢理におまるを引き剥がし隆助へストッキングをかぶせ、頭蓋の縫合のような役割を果たすと、光造へ叱咤激励を飛ばす

その内に光造は、じきに排泄物として出てくるだろうという気に駆られた

こんな悲惨な多数決により、少数派である貴子は二人を快癒させなければいけなかった

素直になった二人は見違えるように快復した。二人して向き合いながら「おれたちは今まで何をやっていたんだ!」と言い合った。

光造は隆助のえくぼが気に入ったし、隆助は光造のケツの上がり方に愛着を感じた。

転がった叔母を見るなり貴子は、取り憑かれたように踏みつけた

「これはぼくの叔母だから」光造は庇うが、あえなく隆助に抑えられてしまう

夜も白みはじめた頃、三人諸共深手を負ったことにそれぞれが三人で生きていかなくてはと漸進的な気持ちとして一つにまとまり始め、そして無事にまとまり切った。

早朝早々、外は若人(わこうど)の覇気でかしましい

食の熱気と性の熱気の世界だ

三人は天体単位の怒りがせり上がってくるのを感じる。

持て余したこの暴力欲で、砕きまくってやるのだ

切りではなくめり込みで、と

三人は動物がいないことと若人が動物に嗜虐性をもっていることを願った。

三人は地理的にも長けているので、外を出てから自然とばらけて行動に移った。

死んだ叔母だけが蛆虫ひとつひとつの大きさを感じていた