צא

دمنهور - 𝑆ℎ𝑖𝑧𝑢𝑜𝑘𝑎 | 𝐻𝑒𝑟𝑚𝑒𝑠 𝑇𝑟𝑖𝑠𝑚𝑒𝑔𝑖𝑠𝑡𝑢𝑠(933311) | Ramakrishna | 𝐑𝐀 | 1991.03/19 | JAPON ♎︎

「iPad like iPhone texting(丸い書物のために)」

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1.
テナントサーバーのごく一部を司る中心の油圧をほんの少し上げる事でここ一帯の周波数を15上げる事に成功した。これは相対的に世界の中心都市ギャランクティア・シリンアの電波塔である「morera」の中枢に余波を与え、簡潔に述べればシリンアの良い感じの空気感をよりディープにさせる。それはシリンアの騒音値を54dB下げたという事である。

2.
彼ら一代で成り上がった金持ち群のメディアに向けられた宣材写真の「余裕さ」はわずかにこじ開けられた無重力スペースでなす術なしになった青年のようである。しかし彼らの実存性は献体としてのものである。つまりイエスの従える青年達が世界都市に細いネットワークで分布されているようなものである。彼らは反本質ではなく、本質の周辺性である。

iPad like iPhone texting

3.
12個のブラウン管にはそれぞれの惑星の地表が映し出されている。それをひとえに爆破すると羽を生やした獅子が現れた。獅子は「お前は己の願望を成就させるべきだ」と私に向かって言った。私は獅子に向かって大声で叫んだ。私と獅子の間には絵画と儀式の空間が生成され、彼は帰るわけでもなしにかえって私の御魂が立証された。ところでこの続きというものはあるだろうか。しかし黄道十二宮とそれに付帯する惑星は忘れ去られたので何かあるはずだ。そして手元には油と槍がある。また一番重要なのは私には生殖器がなかった事だ。

4.
全ての電子広告を集めることはできるだろうか。そしてここにはそれが集められた。「I’m advertisement」と書かれた電子広告はすべて正しい位置に戻された。駅構内のトンネルには最大32枚の広告が飾られており、若い男はその中を歩いていた。しかし彼のコートを広げるとそこには無数の臓器があった。それは20人分の臓器であり、彼は別に体調を崩していたわけではなかった。黒を基調とした美術的風景。それも彼の卒倒によって終わってしまった。オルガンの音に合わせて地面に落下する諸臓器。横たわった彼の瞳はグリーンだった。この時間は15分続いた。そして広告は「I’m hawaii」と書かれていた。

5.
ケルベロスには3つの首があるが、この首に合わせて刃をスライドさせると真ん中の首だけが手足を備える事が出来なかった。sand storm。その形象は花瓶かあるいはエジプト神の帽子を彷彿とさせた。それは動物の体表であるのでベクトルとしてはミイラに向かっていくのだが、そうさせない魔力によってこの首は天空の気流に乗った。つまりザラザラとした質感ではなくツルッとした質感であった。この飛空旅行の途中では白い塔が左右に林立している風景があってそれが印象に残っている。なぜならそのついでに犬の目を覗き込んでみると白眼だったからだ。そしてこの首は最終的に金星に到着した。

6.
金属類の錆の事実が伝えているのはこのような事だった。惑星の周期の変更、神の人間としての降誕、神社の結界の具体性が教会である事(東洋から西洋への変遷)。そして男がポニーに乗ったティナに惹きつけられて訪れたのは植民地だった。この貧困を象徴するのは村の中央の沼であり、色は赤茶だった。男は村の人々の言葉が分からないし、彼の言葉も人々には分からなかった。男は「やい、この丸い沼はなんだい。明らかにお前らの低くて恨めしい空気を司っているぞ。とにかく臭う」と述べると、沼にめがけて白い液体をかけた。それは次亜塩素酸だった。人々は目の色を変えて、卒倒する者もいれば、襲いかかる者もいた。そしてこの村は三週間後に消滅した。男は赤茶の栗毛を振りまいてこちらまで歩いてくる。そして荒い息をマイクにのせながらこのように言った。「あいつら人がせっかくいい事してやったのに、俺が大事にしてる写真を破きやがった」その写真には若い頃の彼が土地祭で骸骨と笑顔で並んでいるツーショットが写っていた。

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7.
ここでは数・音声・文字・衣類・家具のすべてが白によって構成されており、その中央には重油のような黒い液体が流れている。この支配者である彼はどちらかというと黒い側に属していた。そして長らく”ここ”には何も変化がなかった。しかしある男が応接間に侵入し、六角形のカーペットの上でワインをこぼすところから全てが始まる。

中年の男は常に怠慢な性格をもっていて自分の人生に関するあらゆる事を適当にしていた。しかしそれが災いして男はhildegardと刺繍された紺色の帽子を被っている。

男が応接間に侵入したのは仕事をサボってマスターベーションをするためであったが、男はこの部屋の暗さに疑問を持たなかった。というのもそれが居心地の良さに直結していて、男はいつの間にかフロアソファーで眠りについてしまった。しかし女からの電話によって男は起きる。

「12人の男達の中から裏切り者が出るのはご存知?それは2によっても3によっても割り切れるからよ。つまり11が神聖であるというのは地上世界を監視しているケルベロスに表れていて、その暗喩が[11×3=33]であって、彼にとっての小さな太陽なのよ。ところであなたは11人目の応接間に入った男。あなたは六角形のカーペットの上で血をこぼして部屋の規則性を乱した。これから12人目の男が訪れるけど、この男はカーペットの中央でうつ伏せになっているあなたを発見するわ」

男は錯乱してhildegardと書かれた帽子を落としてしまった。そして頭のそばで綺麗に整えられた縮毛がこの男が禿頭であるという事を伝える。男は一目散に逃げるために携帯のライトを点けるが、先ほどこぼしたワインの強烈な染みに驚いて転けてしまった。完全な戯曲のように男はポッケの短銃を落として腹部に命中させるとカーペットの中央で絶命した。またライトは男の腹部を照らし続けた。

彼は黒い液体から出てきたというよりそれを身に纏っていた。その出で立ちは何かを眺めている様子でしばらくすると上着を脱ぎ始めた。黒い液体はもう存在せず、彼の目の前には金星に関するペンタクルだけがあった。彼はその中でこのように告白した。

「私はもう私の思うような人間ではない。なぜなら古い仲間であるあなた方(天使)を思い出したからだ。今から宣告するのはあなた方の名である。その前に例によって規律を重んじ、祝詞を上げる」

"私の心は、ろうのように、胸のうちで溶けた"

この言葉の後には彼も金星に関するペンタクルも存在しなかった。

※ 彼は発話できない音声によって《zfq(注1)》と呼ばれている。また音節的には《h》が強調される。彼が人間であった頃の性別とは男性であるが、アルゴルのような女性性と堕天使のような個人性を備えていた。

注1・zfqは「6 | 43」を意味している。