צא

دمنهور - 𝑆ℎ𝑖𝑧𝑢𝑜𝑘𝑎 | 𝐻𝑒𝑟𝑚𝑒𝑠 𝑇𝑟𝑖𝑠𝑚𝑒𝑔𝑖𝑠𝑡𝑢𝑠(933311) | Ramakrishna | 𝐑𝐀 | 1991.03/19 | JAPON ♎︎

信号不調

異物混入騒ぎで混乱した人間が畳によって封じられる。

ナイフで刺した彼は「あ」と思ってすぐに大気圏へ飛ばされた。

竹中は鼻で笑っていた。ニスで突っ張った指で虫を掴むとカゴの

中へ放った。

続いて竹中もカゴへ入る。極彩色で充満した、そして朦朧としてきて。

死骸を見下ろしながら竹刀の僅かな隙間に二の腕を押し込む。

奇矯にも著しく顔を上げることの出来ない患者のように竹中は竹刀の中へ

割って入る。死骸は置いてきて。

一つの模した、羊から前傾的にスライドするようにして人間型の羊

「あなたは既に死にましたので、この縄を切ってください」

それはどう見ても管だろ、と思いながらもその縄を切ると段階的に

視界は赤く黒ずんでいった。

「感情の狩りは済んでいるようですね」と人間型の羊

「あなたは惜しいんです」

竹中は何か違和感と伴った爽やかさに包まれながらも辺りを認識しようと

努めた。

「ここはP92という場所です、といっても予備の方のです」

「構って欲しいような言い方するな。何がP92だ。殺すぞ」

配管が一様に下を向いていて、すべてステッカーが貼られ。

少しの間が空いて、竹中は人間型の羊の首を掴み、椅子から引きずり下ろした。

すると人間型の羊は泣き喚き始めた。

「俺はまだ死にたくない。こんな割に合わないバイトは初めてだ。お前も

こんな” へんぴ ”な場所に来るなよ」

竹中は叩きつけた体躯へ馬乗りになり、引き剥がした羊の剥製で彼の面相を

タコ殴りにする。

「お前、時給いくらだ」無慈悲に引きちぎられたタンポポのように竹中の

喉ちんこは空気中へ吹き飛ばされた。

「ベチャァ!」と人間型の羊

「なんでお前が効果音を言う!」

慌てたように竹中は彼の隣へ寝そべり、鼾をかいて寝た。

「クラシックだよなあ」

自己紹介は唐突にやってくる。人間型の羊は 飯田 太郎です と竹中めがけ

頭をたれた。

そのまま脳天から倒れると飯田は少し首を痛めた。

その音で竹中は目を覚まし凶暴であったからこそ、飯田は死んだ。

飯田は最終的に絞殺で死んだ。

竹中はズボンを下ろして死んだ飯田の生殖器の皮を両方向へ引っ張り

亀頭にさっきの死骸を隣接させるようにして皮をホチキスで閉じた。

竹刀の中から出た竹中は急いで蛇口をひねって水を飲んだ。

「公共の水道とはいえ飲み干せないのか」

一息つく間もなくインターフォンの音が発された。

「迅速に、そしてスピーディーに!」

扉からやってきたのは先ほどの飯田であった。

「さっきはやってくれたね」と飯田

彼の手には電気カミソリが握り締められていた。

竹中は彼を部屋へ招くと危険だと思い、飯田の脇から抜け出るようにして

家を出た。

「殺される、殺される、殺される」

竹中は異常に畏れていた。背後から飯田が長い脚を運動させて、追ってきている。

「迅速に、そしてスピーディーに!」

エレクトリカルパレード性の強い音楽が流れている理由も知らないまま竹中は

ありったけの路地裏を曲がり続けた。

当然、飯田もそれに倣い、連なってくる。

竹中の肺活量はすぐにそこを尽きて「もう駄目か」と地面に手をついた。

飯田の獰猛な足音が加速度的に聴こえてくる。

肩の抜ける思いで身を縮み上がらせる竹中を待っていたのは意外な展開だった

そのまま走り抜けると振り返って、飯田は竹中の目の前まで緩慢に歩き始めた。

ピタリと止まる。直立不動の飯田は電気カミソリを自らの口内に押し込むと

「ウゲゲゲ」と言って卒倒。

「もう分けがわからないね」と活気が沸いた竹中は視点に向かって近寄ると

口をあんぐり剥いて、そのまま飲み込んだ。