צא

دمنهور - 𝑆ℎ𝑖𝑧𝑢𝑜𝑘𝑎 | 𝐻𝑒𝑟𝑚𝑒𝑠 𝑇𝑟𝑖𝑠𝑚𝑒𝑔𝑖𝑠𝑡𝑢𝑠(933311) | Ramakrishna | 𝐑𝐀 | 1991.03/19 | JAPON ♎︎

【現実から隆起する大きな舌】

恵は人工芝の縫い目に指を入れて、仰向けの皮を裏地へスライドさせた。
つるん、と青空に何かがのるのを発明した。
ー火薬の匂いー
実際に頭を撃ち抜かれる事。
「血は外部にあってはならないし、ましてや地下にあってもならない。ではどこに?」
月一で排出される経血は、やはり隠蔽される。
「経血に執着しようにも、気味の悪い感じになってしまうしね」
今ではローラーを押して歩くような時代じゃなく、それはいかなる貧困地域にしたって似合わなかった。
専ら我々の憩いは、円筒型プラスチックの矢を空へ射る事でした
このまま眠る事が、ただ一つの正しい事のように思われた。
「天国にいながら、天国を感じる…」

恵は二度目の人工芝の展開を思い立った。
「それでも、私はそれを採用する段階にない」
間近に石の泡が見えるが、それがVenusである事も分かっていた。
大いなる女神と私だけ。
ーどうか私の子宮を食べてくださいー
四肢を根こぎ、ひん曲げられるような昂りを感じた。
「御覧なさい。あれが戦車よ、銃器よ、集団強姦よ、幼児虐待よ、セックスよ」
女神はそう言って止まらなかった。
「自己都合・手前勝手な欲望で、一生の命の責任を背負わなければいけない他者という命を産む事は唯一の罪悪よ。自他の区別がつけられなかった盲人の泥試合。だから固さが必要。あの銃器や戦車のように」
恵は人工芝の展開を、採用したく思われた。
ーあなたは私の子宮を食べるべきだわー
「いいえ、あなたが私の全てを食べるべきだわ。睾丸や陰茎を除いて」
空間が原質していき、かすかにマス目が浮かび上がってきた。砂粒のような、一切の飢えのない渇き。
真っ逆さまに落下していく中で、血の住まいを知った。
女神…女神…Venus…

膣口とカップ・インを貝合わせにし、硬直していた恵は生成色の野蛮な声で我に返った。
全裸の私に、刺激されて一方的に獣性を高めている連中なのに、まったく性の不穏な気配を感じはしなかった。
「お前らは女性なんだ」
恵は歩み寄りながら、本質的に性とは機械のように固くて冷たい性質である事を悟った。
ー犯してみろよ!ー
ピストルを象った指で、白豚連中の皮膚をめくり上げ、内部の骨を殴打するが、恵は軽々と形勢をひっくり返された。
八分殺しでまわされる中でゴルフクラブ・フォルムの曖昧さに落胆した。

しかし打ちっ放しのその音は、戦争のデモンストレーションのように響いていた。

ーーーーーー
(恵はすっかり忘れていたが、女神は今もなお怒り続けている)

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