צא

دمنهور - 𝑆ℎ𝑖𝑧𝑢𝑜𝑘𝑎 | 𝐻𝑒𝑟𝑚𝑒𝑠 𝑇𝑟𝑖𝑠𝑚𝑒𝑔𝑖𝑠𝑡𝑢𝑠(933311) | Ramakrishna | 𝐑𝐀 | 1991.03/19 | JAPON ♎︎

「コイン〜風の時代に対する宣告〜」

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黒の切れ目からコインが回っているのが見える。しかしそれは白い円だった。コインが回る度に隙間から覗かせる映像に同一性がない。私はそれが青い時にこの手を差し伸ばした。頭上では天使が幾重にも重なっていた。実際それは白い煙だった。

スカートの裾まで法規を感じさせる教皇の真下で倒れていた。床のタイルの溝は直線ではなく円だった。目の前の壁には青空の絵画が掛けられている。それは教皇の背後に絵画があるという事だった。私はここで自分が終わるのだと悟った。しかしだからこそこの空間は目覚め出した。彼は老人だった。そして微笑みかけると私の手を握った。

空中には複数のレーンが形成されており、その上を滑っていく牛の棺桶。棺桶の中には死体と流木が混ぜられていた。コントラストだけが時間を進行させるこの大自然では風が唯一の登場人物だった。数時間前まで全く異なった世界がここに存在したんだと感じさせる。私は喉を鳴らして声を出すと涙した。

重要な書物がない理由というのはすでに新しい世界に入った事を示している。というわけで私は何も行えなかった。つまりそこには何も対象がなかった。コンクリートや鉄は何もざわめかせなかった。それが自然に抵(あた)るという事であった。私は自分の体の中で最も不必要な部分を石で殴った。そうする事で繁栄の段階に入る事が出来た。

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形から意味性を取り除いた世界。それは極端に神秘的である。円はどうだろうか。三角形はどうだろうか。取り除かれたのである。四角形は存在していた。壁は並列していた。しかしその神秘性によって全ての壁は壊された。辺り一面は砂利になった。そして血が行き渡った。世界が存在するには視点が必要だった。つまりそこには必ず血が存在していた。そして血は天候を呼んだ。

一間の空間で行われた事柄は私に全ての必要な情報を齎した。女性が呻いていたのだ。そして苦しそうだった。私はその全てを見聞きしていた。彼女は確実に動物まで降りていた。私は法悦を感じていた。彼女は動物ではなく教皇だった。

落下する時、我々は背中から落ちるのだろうか。それとも腹から落ちるのだろうか。これは生活上の話ではないので背中から落下する事になる。また生活上の話ではないのだから背骨は折れる事もなく死にもしなかった。その代わりに鏡が割れた。彼の落ちる地点に鏡があったのではない。彼が落下した証拠にそれが鏡だった。

二人の男が背中をくっつけている。そして完全に一致している。同じ事を話しているのだがそれが我々には混声のように聴こえる。

a.「8:00に起きる。優雅な食事をとる。9:00に出かける。筋力トレーニングを行う。13:00にホテルに入る。女とセックスをする。15:00に会館に出向く。オーケストラを鑑賞する。19:00に帰宅する。ワインを飲む。23:00に寝室に入る。裸でうつ伏せになる。そして背中に食い込ませたフックが吊り上がっていき天井に密着する。床の鏡からは太陽を背負った格好に映っている。天井には太陽の絵が描かれている」

b.「私は一つの絵画に飲み込まれていた。絵画を見つめているのだがこの対立構造に完全性を感じていた。それが尿意を催させた。そして性欲に変わっていった。私は射精したかったがここが家ではないというだけでそれを選ばなかった。私はその場に倒れ込んで天井を見つめていた。そして美術館から車、車から病院へ運ばれる事になった。寝台の上でようやく射精をした。点滴の針の間から赤い玉が浮き出ていた」

私には愛着がないのでこの書物を書き終える事が出来なかった。私は椅子に腰を下ろしている。私の目の前には誰がいるのが最適なのだろうか。女性か。いやそれは形式の問題なのだ。だから私はこの書物の上にコップを置いた。