צא

دمنهور - 𝑆ℎ𝑖𝑧𝑢𝑜𝑘𝑎 | 𝐻𝑒𝑟𝑚𝑒𝑠 𝑇𝑟𝑖𝑠𝑚𝑒𝑔𝑖𝑠𝑡𝑢𝑠(933311) | Ramakrishna | 𝐑𝐀 | 1991.03/19 | JAPON ♎︎

「令和#4」

f:id:dlru_eiim:20191222070328j:image

フル勃起の陰茎に巻きつく多少の蛇。それは緑色だった。本来、金色であるがそれは緑色だった。そのため金色のメタファーが対置されている必要があった。私はそう思うし、他者もそう思うだろう。まずはそのメタファーへ入るキッカケが必要である。たとえばこうだ。

ーーーーーー
快晴。初めての太陽という感じだった。私はフランクルの「渇きは水が存在する事の最も確かな証拠である」を思い出した。そうして渇きが生じ、そして水はなかった。私の足はチェーンの通っていない車輪であり、硬くなり、風に流され《そこ》へたどり着いた。真鍮のパイプが干ばつ地に突き刺さっていた。そして厳しい顔つきの男の像を見た。

素数上、鏡像をなくした男の救済とは3回目で起きる。3…5…7。3とは予感である。そして5で何かが起こる。7で目覚める。
最も低位の永久機関がある。食い込みに手をかけ、自分の体をぶん投げた。ステンレスの床に叩きつけられたとき同位体に近づいた。つまりフローリングを見た。木への郷愁。

香草で焚かれる彼が目を覚ましたのはその時だった。女性らによって口に目一杯、草が詰め込まれた。まず自分に性器があるかを確認した。朝とも昼ともつかない明るみの中で彼は自分の神を見た。天上には無限に自分の精神が広がった。雨なんて降ろうはずもなかった。そして女性らが殺された時、時間が発生した。誰が殺したかは重要ではなかった。彼は血だまりを見てルーツを思い出した。最後に土を掻いた。それは搔く事が可能であった。減衰していった。彼は横たわった。誰かが近づいた。そして彼の体の輪郭をなぞった。

器具は肘の関節につけられている。内側へと伸びるアームが三角形をつくっている。腹部に手を当てると代理人がそれを引っ張った。粘性に伴って次第に繊維が出てきた。彼の前方には太陽のタペストリーが飾られている。彼は不快感を感じて、すぐさま吐いた。鉄くずが出てきたがそれは樹木のように感じられた。代理人は繊維を螺旋状に巻いた。そしてハンドルにかけ、彼の背中を強く叩いた。

「porn.porn.porn…」
それは彼が復唱するまで話し続けた。
モニターでは何かの分布図が表示されている。尻をなくした虎のような輪郭だ。その中では北北東の位置にだけ点が集中していた。そしてほぼ対角にある南東の位置にはーMinerーとのみ表示されていた。
代理人は彼の舌に電極ばさみをかますとモニターを壊した。ハンドルには実寸大の彼の忌まわしい女性像が建っている(それは実際に膣にハンドルが挿入されている)
ちょうど腹に顔をうずめる形になって、電極が女性像の臀部から垂れ下がった。
代理人は彼の頭に洗礼を行い、また彼の頭へ杯を落とした。そして南東の位置を指し示した。
彼は吐きそうになるが、機械処理によって抑制されているのを感じ取った。
それは機械に対する喜びのようなものであった。
儀式が実行されるまでそれほど時間はかからなかった。
代理人は女性像の頭部をハンマーではねた。
そして彼は呪文を唱え始めた。

「encording…encording…encording… 金髪の髪だ。それは天使か。連想はごめんだ。生え際をちぎった。三角形のつなぎ目を殴った。私は自分が苛々するものの傾向としてそれが善的なものだという事に気づいた。私はこれまで悪の可能事に怯えていたというのにその悪そのものに快適さを覚えていたのだ。だから私はあえてこの可能事を果たしてやろう。私は生命が消える事に対して怯えていた。だからー生命が消えるという事ーを殺すのだ。私は自分の潜在意識に悪いものがあると感じていた。私はまさしく私の主人であるのだからその潜在意識にアルファベットを与えた。私はそれに「S(エス)」という名を与えた。そして私は潜在意識を表す事に成功した。それは私が私の主人である事に成功したという事だ。そしてエスに対しての悪の可能事は尽くされた。それは善行のように感じられた。私は今まさに変性していっている。意識ははっきりしている。その事実として「…素数上、鏡像をなくした男の救済とは3回目で起きる。3…5…7。3とは予感である。そして5で何かが起こる。7で目覚める。…」と告げた事を覚えている。もうこのような予感はいらないのだ。ただ無意味なものを排外すればよいからだ。my sun(私の太陽)が遠くなる…なんて事もない。それは原理原則ではないからだ。ただの潜在意識の規則性だった。煮沸する音が聴こえる。それは悪い知らせに聞こえるだろう。そしてこのように連想されるだろう。私は今からかつての忌まわしい女性像を抱く。そして痙攣し、倒れる。しかし様相は全くもって異なる。実際は逆だ。私は今から女性像を破壊する。私のこの行為はあなたを救済するために行われる。私が私を救済する事で行われるのだ」

床に乾いた音がした。そこには金色のチップが置かれていた。そして女性像に差し込まれた。私は女性像が蘇るにしたがって戦慄した。だが勇み足で近づくより他なかった。

「ハーレムという複数語を与えよう」

それ以外なにも言葉は出なかった。彼女が私を抱き込み、永遠にサファリを想像した。