צא

دمنهور - 𝑆ℎ𝑖𝑧𝑢𝑜𝑘𝑎 | 𝐻𝑒𝑟𝑚𝑒𝑠 𝑇𝑟𝑖𝑠𝑚𝑒𝑔𝑖𝑠𝑡𝑢𝑠(933311) | Ramakrishna | 𝐑𝐀 | 1991.03/19 | JAPON ♎︎

「穴〜外接面に対する考察〜」

f:id:dlru_eiim:20200708020429j:image

一つの大きな目が見つめた。そして扉が開かれた。トランクであり重い鉄格子であった。分裂した二つの目とも言えた。いずれにしても問題ではなかった。そこに海を詰めた水槽がある。天球に見立てるために半円型の金細工が被せられた。つまりは結果的に地面から下の半円を求めなければしょうがなくなった。

ーーーーーー
まず粘性液が垂れた。何度も継ぎ目をつくって、ついにはなくなった。そして水たまりが出来た。それが粘性液の総和である。衝撃を分解する技術によって意図不明になった彼。単刀直入にこのように表現したのである。

「根を下ろしてる場所を解放するには神から見放される必要がある。そして掃き溜めになって、神がなくなる。したがって集合としての私は困り果てる」

結局は天球を取り外した。床に散らばった資本は丁寧に積み重ねられていた。彼は上半身だけを水槽の中に突っ込んだ。下半身の存在意義はなくなっていた。しかし全身まで浸かる事はもうできなかった。とはいえ下半身は地面についているとは言える。

ーーーーーー
《1》灰をさらに燃やす。燃やす対象としての灰。耐久テストを完全にクリアした新車は運送会社のトラックに積めこまれて高速道路を渡った。良い景色だったと思う。それは映像体験を超えた新しい知性体系だ。

《2》リモートビューイングはピラミッドの頂点から抜け出るのだが一旦、頂点部を切り取って小三角形にしてみよう。太陽の光線を当ててみる。そこに映るのは「動体視力を失った人々のぶつかり合い」だった。受け身を取らずに大多数の人間が倒れている。歩き続けているのはこのような人々だ。肥満体型。

《3》最悪の場面でも男は自分の本能が表現できているという限りにおいて喜んでいた。ただ物語は進みようがなかった。目の前には個体としての損失があるのであり男はうんざりした。そして神に対して膝から頽(くずお)れた。それは研究者としての態度だった。

《4》四方面の外接にエステサロンがある。中央面には鉄隕石と真上には知性的な機材が設置されている。鉄隕石と機材の間に入っていくが、それは鉄隕石に寝そべる事にしかならなかった。重力があるからだ。空間上に固定するのは不可能である。しかしここでは種の知識に到達するのより創造的だった。

ーーーーーー
「動物の色素を平均化し、抽出した。それはやや黒色に寄った茶色であった。茶褐色よりは黒い…」と記述されたノートと天井の穴がある。穴はクリーム色をしておりどちらかといえばそれ以外が穴のようだった。
ホワイトボードには三角形と四角形が隣り合った図像が書き込まれていて下部にはこんなような説明があった。

《隣接というのは関係構造として生じるとは考えにくい。たとえば逆三角形の上に四角形を乗せる。これはバランスが悪いので四角形が倒れる。その結果、逆三角形は1/3回転して正三角形になり、二つの立方体が隣り合う》

ホワイトボードと書斎机の中間点に青空が差し込まれている。自然界の法則が永遠に展開されている。まさしく自然そのものだった。ローオクターブ的に表現するならばつまりこの地点で男が固まっている。動けなくなっている。

ーーーーーー
水槽の中の海は渦潮をつくっている。渦の影響下にあるものは全て中心に集まっていった。おお神よ、これは本当の私の兄弟ではない。ところで積み重ねられた資本は二段組でそれぞれ9と8だった。
8の方が倒れ、それは9と0という風に言えた。

私が思うにこの水槽は何者かによって倒されるだろう。そして床面を浸して、ついに天井より溢れる。水槽より海の方が大きいのだ。またどちらが穴であったかその時に分かる事になる。