צא

دمنهور - 𝑆ℎ𝑖𝑧𝑢𝑜𝑘𝑎 | 𝐻𝑒𝑟𝑚𝑒𝑠 𝑇𝑟𝑖𝑠𝑚𝑒𝑔𝑖𝑠𝑡𝑢𝑠(933311) | Ramakrishna | 𝐑𝐀 | 1991.03/19 | JAPON ♎︎

【絵画〜果物】

セメントが螺旋状に割れた。
自分よりも頭上にある青空から水色の溶液が垂れている。
歯間ブラシであの曰くの歯をこそぐに連なって我々の目の前に十字架が現れた。
ああ、俺の感覚を焼き尽くす太陽。概念を焼き尽くす太陽。意識の裏筋をきつく撫でる太陽。
大いなる太陽とは数量的なものであった。
あなたの真心は身体をありえない方へ可逆した。
舌で書く絵葉書はついに破れた。

デスクで水を移し替える時に、隣室のホテルからディスカバリーチャンネルが聴こえてきた。
彼はすぐに胃腸障害を起こして松果体のあのホールによってキリストの首がへし折れるのを見て取った。
下腹部を再三、突かれるにしたがって電源を入れるのであるから金髪の裸が飛び込んできたのだ。
(彼はここで自分が異国にいる事を体感した)
「まるで性をディズニーが遠隔しているようだ」
退縮するオーガズムにかえって憤るので呼び寄せた鼠がキリストの後頭部にめり込んだ。
さっきまでは殴り込む事も考えていたが、こうなってはその理由もなくなって窓を開けた。
「材質の匂い。コンクリートの匂い。海外は土とか建造物の匂いがする」
それが宗教の範囲のように感じた彼は友人に電話する。
「それどころじゃないんだって。お前の暇(いとま)に付き合ってる暇がない。女が急にいなくなった。俺は人を関係でつなぎ止めたりしないから自分が原因で起きているこの事態に困惑してるんだよ」
相槌を待たずに終わった速報のような電話に彼は満足した。神経系の災難によって、この異国の二元的な重力との均衡を保ったのだ。
一酸化炭素を嗅ぎたい気分であった。
あるいは娼婦の太腿の筋繊維を歯茎だけで噛みちぎりたい興奮状態である。
(間違ってならないのは性的衝動のそれではなくD2受容体の系統であるらしい)
彼は上体を窓枠にさらして右手で鳩尾を叩いた。
うなりと共に吐瀉がエントランス先を濡らすにあたってあの鼠の裏声を反芻しなければならなかった。
視界でチカチカする極彩の黄色が、この異国の標榜する電柱の青い光を優しくさせた。

破水を機関銃で塞ぐような逼迫したミサだ。
森林が45°に突っ張っているが、無風である。
土は一帯、青い。
ラクターの運転室では婦人服でいっぱいであった。
「四角いかかしを見た事があるか?」
画面全体に男の顔がある。
白いシャツを脱いで、筋骨たくましい胸に片手を添えて、次第に赤く染まっていく。
血だらけの顔で舌の付け根をこちらへ見せようと必死である。
私は屈んでこの世の女性にまさる嬌声を発した。
医大センター試験マークシートを音階として試みる風景が連想され、そして赤い俳優風の男に刺さったのは、ビーカーの危険な水をこぼしたラボの映像なのだ。
「私は田舎にいる」
つむじが我々にとって取り沙汰にされるのは画面全体に君臨する男の顔面に私が合一しているからだ。
(ここで脳天を割るに適した道具は何であろうか?)
ラッカーによって打ち身のような子宮で後頭部を殴打するが、実際は握りこぶしの圧力である。
きれいに50:50に開いた頭部から見えるのは蓮の花畑である。
まさしく天国のようであって、無理やり全身を入れるものだから、その界ごとやぶけてしまった。
ちょうど俳優風の男の顎先を見上げる形をとり適切な目線になおすと、目の前には相対的に遠大な陰茎があった。
「まるで複眼のようなキメの細やかさだ」
渇いたおそれがせり上がってきて、後ろを振り返ると嘘のような津波が迫ってきていた。
男の顔は最高潮のままで、白目には幾つもの雷が上がっていた。

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