名前を売って欲しいと、男が訴えかけている。
男の顔は怒った亀頭であり、額の辺りから白濁液がじきに漏れ出すような放射口の穴が伺える
男はそこまで名前を売って欲しい感じがしなかったし、私の方でも直ぐに射精がしたかったから名前を買わせてもよかった
この蛇睨みの時間はアイスクリームが溶けて、溶岩に付着する程に長い
少なくとも私には長く感じられ、男は踵を返し去る準備を整えつつも、そばだてれば又あの「名前を売ってくれ!」が聴こえてきそう、あるいは聴こえている事実をモノに出来そうな感じであった。
男は恐らく将来、何事もなく発明するのだが、この蛇睨みの時間が何に変質していくかは私と男のどちらかが操作出来ることじゃなかった
男は憑依されたり、性サイクルに蕩尽したり、乞食、自転車屋といった風に全方位的に転がっていくことには人一倍可能性がある。
結果的には発明することに変わりはないのだが、この男の職業的・精神的とに関わらず人相がおびただしく移ろっていくのは、着目すべき特徴の一つだろう
この男のことがよくわからない。
私はいかようにも組込することが出来るし、それに取り憑かれているのだが、この男は個我において特有の供儀を何十、何百と行っているので、誇張するように言ってしまえば男自身以外に男自身の発展に関与が出来ない。
神も私も妖怪も、この男の前にしては只の檻の中の大動物なのである。
私は、この男に怨念を抱こうとすれば本当にその通りになるであろう
この男は発明をする
この男は自ら抹殺を選ぶ
この男は発明と自らを切離し、何かをする
これだけが私にわかる事だ
この男はー名前を売って欲しいーと訴え続ける
この男には永延に、脚がもらえないだろう