צא

دمنهور - 𝑆ℎ𝑖𝑧𝑢𝑜𝑘𝑎 | 𝐻𝑒𝑟𝑚𝑒𝑠 𝑇𝑟𝑖𝑠𝑚𝑒𝑔𝑖𝑠𝑡𝑢𝑠(933311) | Ramakrishna | 𝐑𝐀 | 1991.03/19 | JAPON ♎︎

「最後のマリア像」

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連続的に押し出される天使の像。前方向に展開し続けて、最後には点になった。
広間に立つ男がこう宣言する。
「本当のマリア像を知っているか。それは言語化出来ないものだ。また関連づけも不可である」

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《𝒙》
ガソリンスタンド。屋根には石製の楔が二列だけ打たれている。そこには様々な家畜が吊し上げられる、といった具合だ。
蓄えた顎髭まで砂で出来ていそうな老人。彼は17番目のタイルに立って私に何かを訴えがけていた。耳を近づけると「口を開けろ」と聞こえた。
口の中にノズルが入るとリラックス状態になった。牧草の味。胃は焼けているが快感だった。
老人がコンクリート化しつつある事に気がついた時には青空は「赤、緑、黄色、紫」の順に変色しているようでそれは脱皮現象を表していた。私は均衡感覚を失って倒れた。

《𝒚》
男はステンレス製観葉植物の根を引っこ抜いた。書斎机に座り、ペンチを戻した。ノートには自分の理論が書かれている。男はそれを眺めた。洗面台に行く。ポマードを手につけると髪の毛を七三分けにした。スーツに袖を通す。出かけるようだ。紙袋の中には球が入っている。それを手に持つ。愛犬を見る。愛犬はグリーンのペルシャ絨毯で正しく座っている。額を眺めている。赤い額。額装されていないので壁が絵画である。長方形の光。その設計者は「彼・扉・自然」だった。

《𝒙》
トレジャーハンターとそれに与えられる島。「それごと丸めましょう」と弟子。私は「丸めた部分が露見する事になる。宇宙物質ではなく、それは単なる物質だ。つまりサーモンピンクの岩肌みたいなのが出てくるぞ」と答えた。運航は快調だった。船は海底のレールに繋げられているし、死んでも問題がなかった。長方形の船を想像して欲しい。それは何mだろう。ともかくこの二人の男は殴り合いをした。原因は二人で決めた。《卵シートから全部で30個の卵を取り出す。それを床に捨てる。代わりに小さな地球を並べる》というものだった。弟子は目を光らせ、肯いた。

《𝒚》
日中は灼熱で紙袋の中の球体は90℃を超えていた。それがビジネスまで運搬されている。ホワイトボードには「ビル群 | 公園群」と書かれていて会議に出席したのは計13名だった。最後に到着したのが彼であり、そのまま出席者の中央に立つと話をし始めた。「今はまだ取り出せないが紙袋には球体が入っている。ところで規則的な生活をしていると理論が生じない。そして夢を見る。私は昨日の事について話をしたい。夢の内容だ。とはいっても何も展開がなかった。ただ勅命だけが伝えられた。つまりこのような事である。ロゴスとしての信仰が消える。私は目覚めると球体を手に持っていた」

《𝒙》
丸型穴のコンセントには両足が差し込まれる。それは一本の木材の話のように見えるが、折れていき、折れていき、最後には繋がった。曼陀羅みたいだ。やはり中央には青空があってむしろこの囲いが邪魔に思える。しかしここには証明の関係がある。目を閉じた。瞑られた目が楕円を描くのは目が球体であるからだ。両目の楕円は鼻で割られる。人体と顔は五角形で出来ている。もし語らず、呼吸をせず、何も見なければ円になるだろう。そして目と口だけを開くのならばそれは三角形になる。

《𝒚》
書斎机のノートにはこのように書き込まれていた。「聖マリアは受胎告知によって処女懐胎した。以下の事が考えられる。1.私がイエスである。2.球体がイエスである」彼は身なりを整えると室内灯を暗くして初夜を迎えた。

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《補注》
・ホワイトボードの「ビル群 | 公園群」は一切進んでいない
・彼の洗礼前のノートの最後には
「2020.8/11 13:35 古代物質を売る商店街。一つのブロックはa×bで構成されておりその間には青い粘液が流れている。世界地図区分のような痛みが走った。目の前が赤くなるがこれきりといった感じでそのまま尻餅をつく。勿論、臀部には大量の粘液が付着した」といった記述がある